category:機材レビュー
今日は曇り時々雨。
結局休みの3日間は天気が優れず終わりました。
ということで、今日もD300のレビューの続きを。
今日は「屋外スポーツ編」です。
<D300で撮る屋外スポーツのオススメセッティング>
※ここでは芸術性は考慮せず、あくまで捉えたい被写体を適正露出で、かつ日の丸構図で捕らえることを主眼として書いていきます。主に販売写真ですが、例えばお子さんの運動会などでも応用できるかと思います。
【0:基本的な考え方】
屋外スポーツで考慮すべき点は、
(1) 天気がころころ変わるので明るさが一定ではない。光線の向きによっても被写体の明るさが変わる。(逆光では影になる)
(2) 動くものを止めるには、速いシャッタースピードが必要。
(3) 同じシーンは二度と訪れない(かもしれない)ので撮り直しができない。
の3点です。
私は特に(3)を重視し、「カメラに任せられる部分は任せて、撮影に集中する」ということをポリシーにしています。
【1:感度自動制御を使う】
上記の通り、スポーツのような動いているものを止めるには、シャッタースピードを上げる必要があります。
写真の明るさは「シャッタースピード(シャッターの開いている時間)」と「絞り」の相関関係で決まり、かつ適正な明るさにするための光量(適正露出)は一定なので、適正な明るさを保ってシャッタースピードを上げる(シャッターの開いている時間を短くする)には、絞りを開けて、光が短い時間に一気に入ってくるようにしてやらねばなりませんでした。
しかし、デジタル時代になって大きく変わったことがあります。
それは、
「感度」を一枚ごとに自由に設定できるようになったこと。
つまり、デジタルでは絞りを開けるだけでなく、感度を上げることでもシャッタースピードを上げることができるようになったのです。
そして、D300はAPS-C機の中では高感度に強い方であり、かつ「感度自動制御」ができるようになっているので、これを積極的に使わない手はありません。
まず、撮影モードはM(マニュアル)を使います。
とりあえずシャッタースピードは1/1000、絞りはF6.3~F8くらいにしましょう。
絞りは空ける(数字を小さくする)とピントの合う範囲が狭くなり背景がボケ、絞る(数字を大きくする)と画面全体にピントが合うようになってきます。このピントが合って見える範囲を「被写界深度」と言うのですが、絞りを空けすぎると被写体がふわっと浮き上がって見えるようなカッコイイ写真になる反面、ピントの合う範囲が狭いのでスポーツのような動きものではピンボケになる確率も上がります。
また、スポーツ写真では望遠レンズを使うことが多いと思うのですが、望遠になればなるほど、同じ絞り値でも被写界深度は狭く見えます。
ゆえに、ここでは「適度に絞ってピンボケを防ぐ」ことを主眼としています。
シャッタースピードは一応1/1000と書きました。これは、「望遠レンズで1/1000も切っていれば動いているもののブレ(動体ブレ)も防げるだろう」という憶測ですが、1/1000でも動体ブレは起こるときには起こります。ですので状況を見て1/2000なり1/4000なりに適宣変更してください。
一般的にカメラに対して正面に向かってくるものはブレにくく、横に動くものはブレやすくなります。
また、カメラから近いものはブレやすく、カメラから遠いものはブレにくくなります。
少年スポーツの場合、ゴールライン側からサッカーを撮るなら1/1000で十分だと思いますが、3塁側から野球のピッチャーを撮るには1/1000では不足です。
次に、撮影メニュー(カメラのマークのタブ)の中から、「ISO感度設定」を選び、「感度自動制御」を「ON」に設定してください。その際、感度は「200」に、また制御上限感度は「1600」にします。撮影モードがMなのでシャッター速度の下限はとくに考慮する必要はありませんが、とりあえず低速限界設定は「1/500」にしておいてください。
これで、シャッターを1/1000、絞りをF8に固定したまま、明るさによって感度がISO200~ISO1600の間で自動的に変わる、いわば「シャッター優先かつ露出優先オート」の状態になりました。
上限感度をISO1600にしたのは、D300で2L版プリント程度ならISO1600までならそんなに荒れもなく使えるという私の主観です。
注意点は、
(1) 測光モード(ファインダーの右)は「マルチパターン測光(真ん中)にする」。
(2) 撮影時はファインダー内の露出ゲージを見て、常に+-0か-1/3の状態になるように適時シャッタースピードと露出を調整する。
(3) 逆光時は露出補正(シャッターボタンの後ろの右側の小さなボタン)を+0.3~+0.7にする。
ということです。
(2)に関して、結局シャッタースピードと絞りを調節しながら撮らなければならないならシャッター優先オート(S)で撮れば良いのではないかと言われそうですが、D300の場合、Sモードだと、絞りが開放まで達して初めて感度が制御される傾向があるので、前述した通りピンボケ防止の観点から私はSモードは使いません。
(3)に関して、Mモードなのに露出補正が必要な理由は、感度を自動制御させるために、カメラに意図した明るさを伝えるためです。逆光では普通に撮ると人物が影になってしまうため、「普通よりも明るく撮って欲しいんだ」ということをカメラに教えるために、露出補正をプラスにします。ただし、D300のマルチパターン測光は元々ややオーバー目なので、強逆光でもない限り、+0.7以上の補正は通常必要ありません。
また、逆に通常時は露出補正を-0.3にしておいた方が好結果が得られるかもしれません。被写体の色にもよりますが、順光で+-0では白飛びしてしまう可能性があります。
【2:AFは状況に応じて】
露出が決まれば次はピントですが、これは状況に応じて変更します。
ここでは野球とサッカーについて説明します。
例えば、運動会の徒競走なら「サッカー」、騎馬戦なら「野球」を参考にしていただければと思います。
共通設定としては、カスタムメニュー(鉛筆のタブ)のAFの項目のうち、
・AF-C時の優先:レリーズ優先
・AF-S時の優先:レリーズ優先
・ダイナミックAFエリア:9点
・AFロックオン:オフ
・AF点数:51点
にします。その他は初期設定のままでも任意に変えても構いません。
まず、野球の場合、バッターやピッチャー、または守備の構えなどカメラと被写体の距離が変わらないものに関してはAF-Sを使います。その際、AFエリア(十字キーの下)は一番下の「シングル」にしましょう。
守備で走ってボールを捕る様なシーンではAF-Cの方が効果的ですが、場面展開もそう読めないので、超音波モーター搭載のレンズであれば、AFの速さを信じてAF-Sのままでも構いません。ただし、2~3枚連写しておくことをオススメします。連写しているうちにAF-SでもAFが追いついてくれます(超音波モーターでもVR18-200はAFが遅いので要注意!)。
サッカーの場合は常にカメラと被写体の距離が変わるのでAF-Cにします。
その際、AFエリアは真ん中の「ダイナミック」にします。
このAF-C+「ダイナミックAF」は、自分が選択しているAFエリアと周囲の計9点が協力して狙った被写体(一番手前にある被写体)にピントを合わせ続けてくれるモードです。
撮影時のポイントは、自分の狙った被写体を選択したAFエリアから外さないよう努力することです。
通常は、AFエリアは真ん中を選択し、被写体を真ん中に置き続ければ問題ありません。
ここでは最初にダイナミックエリアを「9点」に設定しました。
「21点」や「51点」の方がより被写体を追従してくれるのではないかと思われがちですが、ここではあくまで「画面の真ん中に撮りたい被写体を置く」ことを主眼としています。真ん中であれば「9点」で十分。「21点」・「51点」とアシストするAFの点数を増やせば増やすほど、AFは何にピントを合わせてよいかわからず、迷ったり、予期せぬところにピントが飛んだりするので要注意なのです。
また、D300に初搭載された3D-AFトラッキングは、この場合は残念ながらあまり当てになりません。
3D-AFトラッキングは最初にAFを合わせたところの色情報を元にピントを合わせ続けてくれるモードですが、チーム全員が同じ色のユニホームを着ている状況では、誰にピントを合わせてよいのかカメラはわからず、迷うばかりです。
AFロックオンはAFを合わせた被写体の前を人が過ぎったとしても、最初に合わせたところに合わせ続けてくれるという機能ですが、その分AFの動作がやや緩慢になるようです。なので私はOFFにしています。
当たり前ですが、自分の撮りたい人の前に別な人が重なっていたら、撮ってもあまり意味ないですよね。
【3:ドライブモード】
もちろん、スポーツではCH(高速連写)にしておきましょう。
逃した瞬間は二度と訪れないので、何よりまず枚数を撮ることが大切です。幸いデジタルは何枚撮ってもタダですから、思う存分切りまくりましょう(笑)
以上、屋外スポーツ撮影時の主に露出とピントの設定について書いてみましたが、露出が適正でピントがしっかり合っていれば写真としては概ね問題ありません。逆に言うと、露出がアンダーだったりピンボケだったりすると、どんなに良いシーンでも残念な写真になってしまいます。
D300は多機能な分、一歩設定を間違うとカメラが撮影の足を引っ張ってしまうことにもなり兼ねませんが、設定を間違えなければ、一度しかない瞬間を切り取るための最高のパートナーになってくれるはずです。
結局休みの3日間は天気が優れず終わりました。
ということで、今日もD300のレビューの続きを。
今日は「屋外スポーツ編」です。
<D300で撮る屋外スポーツのオススメセッティング>
※ここでは芸術性は考慮せず、あくまで捉えたい被写体を適正露出で、かつ日の丸構図で捕らえることを主眼として書いていきます。主に販売写真ですが、例えばお子さんの運動会などでも応用できるかと思います。
【0:基本的な考え方】
屋外スポーツで考慮すべき点は、
(1) 天気がころころ変わるので明るさが一定ではない。光線の向きによっても被写体の明るさが変わる。(逆光では影になる)
(2) 動くものを止めるには、速いシャッタースピードが必要。
(3) 同じシーンは二度と訪れない(かもしれない)ので撮り直しができない。
の3点です。
私は特に(3)を重視し、「カメラに任せられる部分は任せて、撮影に集中する」ということをポリシーにしています。
【1:感度自動制御を使う】
上記の通り、スポーツのような動いているものを止めるには、シャッタースピードを上げる必要があります。
写真の明るさは「シャッタースピード(シャッターの開いている時間)」と「絞り」の相関関係で決まり、かつ適正な明るさにするための光量(適正露出)は一定なので、適正な明るさを保ってシャッタースピードを上げる(シャッターの開いている時間を短くする)には、絞りを開けて、光が短い時間に一気に入ってくるようにしてやらねばなりませんでした。
しかし、デジタル時代になって大きく変わったことがあります。
それは、
「感度」を一枚ごとに自由に設定できるようになったこと。
つまり、デジタルでは絞りを開けるだけでなく、感度を上げることでもシャッタースピードを上げることができるようになったのです。
そして、D300はAPS-C機の中では高感度に強い方であり、かつ「感度自動制御」ができるようになっているので、これを積極的に使わない手はありません。
まず、撮影モードはM(マニュアル)を使います。
とりあえずシャッタースピードは1/1000、絞りはF6.3~F8くらいにしましょう。
絞りは空ける(数字を小さくする)とピントの合う範囲が狭くなり背景がボケ、絞る(数字を大きくする)と画面全体にピントが合うようになってきます。このピントが合って見える範囲を「被写界深度」と言うのですが、絞りを空けすぎると被写体がふわっと浮き上がって見えるようなカッコイイ写真になる反面、ピントの合う範囲が狭いのでスポーツのような動きものではピンボケになる確率も上がります。
また、スポーツ写真では望遠レンズを使うことが多いと思うのですが、望遠になればなるほど、同じ絞り値でも被写界深度は狭く見えます。
ゆえに、ここでは「適度に絞ってピンボケを防ぐ」ことを主眼としています。
シャッタースピードは一応1/1000と書きました。これは、「望遠レンズで1/1000も切っていれば動いているもののブレ(動体ブレ)も防げるだろう」という憶測ですが、1/1000でも動体ブレは起こるときには起こります。ですので状況を見て1/2000なり1/4000なりに適宣変更してください。
一般的にカメラに対して正面に向かってくるものはブレにくく、横に動くものはブレやすくなります。
また、カメラから近いものはブレやすく、カメラから遠いものはブレにくくなります。
少年スポーツの場合、ゴールライン側からサッカーを撮るなら1/1000で十分だと思いますが、3塁側から野球のピッチャーを撮るには1/1000では不足です。
次に、撮影メニュー(カメラのマークのタブ)の中から、「ISO感度設定」を選び、「感度自動制御」を「ON」に設定してください。その際、感度は「200」に、また制御上限感度は「1600」にします。撮影モードがMなのでシャッター速度の下限はとくに考慮する必要はありませんが、とりあえず低速限界設定は「1/500」にしておいてください。
これで、シャッターを1/1000、絞りをF8に固定したまま、明るさによって感度がISO200~ISO1600の間で自動的に変わる、いわば「シャッター優先かつ露出優先オート」の状態になりました。
上限感度をISO1600にしたのは、D300で2L版プリント程度ならISO1600までならそんなに荒れもなく使えるという私の主観です。
注意点は、
(1) 測光モード(ファインダーの右)は「マルチパターン測光(真ん中)にする」。
(2) 撮影時はファインダー内の露出ゲージを見て、常に+-0か-1/3の状態になるように適時シャッタースピードと露出を調整する。
(3) 逆光時は露出補正(シャッターボタンの後ろの右側の小さなボタン)を+0.3~+0.7にする。
ということです。
(2)に関して、結局シャッタースピードと絞りを調節しながら撮らなければならないならシャッター優先オート(S)で撮れば良いのではないかと言われそうですが、D300の場合、Sモードだと、絞りが開放まで達して初めて感度が制御される傾向があるので、前述した通りピンボケ防止の観点から私はSモードは使いません。
(3)に関して、Mモードなのに露出補正が必要な理由は、感度を自動制御させるために、カメラに意図した明るさを伝えるためです。逆光では普通に撮ると人物が影になってしまうため、「普通よりも明るく撮って欲しいんだ」ということをカメラに教えるために、露出補正をプラスにします。ただし、D300のマルチパターン測光は元々ややオーバー目なので、強逆光でもない限り、+0.7以上の補正は通常必要ありません。
また、逆に通常時は露出補正を-0.3にしておいた方が好結果が得られるかもしれません。被写体の色にもよりますが、順光で+-0では白飛びしてしまう可能性があります。
【2:AFは状況に応じて】
露出が決まれば次はピントですが、これは状況に応じて変更します。
ここでは野球とサッカーについて説明します。
例えば、運動会の徒競走なら「サッカー」、騎馬戦なら「野球」を参考にしていただければと思います。
共通設定としては、カスタムメニュー(鉛筆のタブ)のAFの項目のうち、
・AF-C時の優先:レリーズ優先
・AF-S時の優先:レリーズ優先
・ダイナミックAFエリア:9点
・AFロックオン:オフ
・AF点数:51点
にします。その他は初期設定のままでも任意に変えても構いません。
まず、野球の場合、バッターやピッチャー、または守備の構えなどカメラと被写体の距離が変わらないものに関してはAF-Sを使います。その際、AFエリア(十字キーの下)は一番下の「シングル」にしましょう。
守備で走ってボールを捕る様なシーンではAF-Cの方が効果的ですが、場面展開もそう読めないので、超音波モーター搭載のレンズであれば、AFの速さを信じてAF-Sのままでも構いません。ただし、2~3枚連写しておくことをオススメします。連写しているうちにAF-SでもAFが追いついてくれます(超音波モーターでもVR18-200はAFが遅いので要注意!)。
サッカーの場合は常にカメラと被写体の距離が変わるのでAF-Cにします。
その際、AFエリアは真ん中の「ダイナミック」にします。
このAF-C+「ダイナミックAF」は、自分が選択しているAFエリアと周囲の計9点が協力して狙った被写体(一番手前にある被写体)にピントを合わせ続けてくれるモードです。
撮影時のポイントは、自分の狙った被写体を選択したAFエリアから外さないよう努力することです。
通常は、AFエリアは真ん中を選択し、被写体を真ん中に置き続ければ問題ありません。
ここでは最初にダイナミックエリアを「9点」に設定しました。
「21点」や「51点」の方がより被写体を追従してくれるのではないかと思われがちですが、ここではあくまで「画面の真ん中に撮りたい被写体を置く」ことを主眼としています。真ん中であれば「9点」で十分。「21点」・「51点」とアシストするAFの点数を増やせば増やすほど、AFは何にピントを合わせてよいかわからず、迷ったり、予期せぬところにピントが飛んだりするので要注意なのです。
また、D300に初搭載された3D-AFトラッキングは、この場合は残念ながらあまり当てになりません。
3D-AFトラッキングは最初にAFを合わせたところの色情報を元にピントを合わせ続けてくれるモードですが、チーム全員が同じ色のユニホームを着ている状況では、誰にピントを合わせてよいのかカメラはわからず、迷うばかりです。
AFロックオンはAFを合わせた被写体の前を人が過ぎったとしても、最初に合わせたところに合わせ続けてくれるという機能ですが、その分AFの動作がやや緩慢になるようです。なので私はOFFにしています。
当たり前ですが、自分の撮りたい人の前に別な人が重なっていたら、撮ってもあまり意味ないですよね。
【3:ドライブモード】
もちろん、スポーツではCH(高速連写)にしておきましょう。
逃した瞬間は二度と訪れないので、何よりまず枚数を撮ることが大切です。幸いデジタルは何枚撮ってもタダですから、思う存分切りまくりましょう(笑)
以上、屋外スポーツ撮影時の主に露出とピントの設定について書いてみましたが、露出が適正でピントがしっかり合っていれば写真としては概ね問題ありません。逆に言うと、露出がアンダーだったりピンボケだったりすると、どんなに良いシーンでも残念な写真になってしまいます。
D300は多機能な分、一歩設定を間違うとカメラが撮影の足を引っ張ってしまうことにもなり兼ねませんが、設定を間違えなければ、一度しかない瞬間を切り取るための最高のパートナーになってくれるはずです。
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